ライブよりテンション上がる歌舞伎「連獅子」の魅力
歌舞伎をそれほどご存じない方も、赤と白の長ーい毛をぶんぶん回しているシーンは見たことがあるという方も多いはず。歌舞伎はよく分からないよーという方にも楽しんでもらえること間違いなしの「連獅子」の魅力についてお話します。
連獅子は感覚で楽しめます
能の「石橋(しゃっきょう)」を素材とした石橋物の長唄舞踏だそうです。でも、この説明ではよく分からないし、能と言われても敷居が高そうで魅力を感じにくいかも。
歌舞伎ですら敷居が高いような気がするのに。
連獅子の演目時間は約45分で親子の情愛を描いたお話です。
誰もが知っている獅子の子落としの話でもあり、お芝居というより舞踏なので、セリフが難しすぎてよく分からないなんて心配もありません。
私が連獅子を好きな理由、日常では味わえない高揚感が味わえる。
私が思う連獅子の魅力は何といってもその迫力です。
あの赤と白の長―い毛をぶんぶん振り回す様子は気振りといって、物語の終盤で見ることが出来ます。
何とも表現しがたい高揚感はライブやお芝居では感じたことのないものでした。
歌舞伎なので、皆さんちゃんと椅子に座って観ているのですが、私はどんどん前のめりになり、思わず席から立ちあがってしまいたくなる位ハイテンションに。
美しい染五郎さん目当てで観に行っているので、染五郎さんの一挙手一投足をよーく見ようとオペラグラス越しに見ていましたが、途中からオペラグラスを覗いている場合じゃないと気付きました。
あの長ーい毛によるお芝居のスケール感と長唄との相乗効果に圧倒されました。
お芝居もよく観に行きますが、お芝居で思わず立ち上がりそうになった事はありません。スタンディングオベーションもした事なし。
ライブはすでにスタンディング状態で始まるので、恐らく最初からテンションが高いため、終盤へ向けてさらにテンションがアップするとしてもその振れ幅が連獅子より小さいのかもと思います。
連獅子はフラットなところから徐々にテンションが上がり始め、息もつかせぬほどの演出が見事です。
ただ観ているだけなのに、手をぎゅっと握りしめ、歯を食いしばって観てしまうような、心の中では自分も気振りをしている、そんな感覚になるのです。
私が初めて歌舞伎の連獅子を観たのは2019年11月のこと。
私は歌舞伎を年に数回観に行きますが、歌舞伎ファンではありません。
私が歌舞伎を観に行く理由は市川染五郎さんのファンだから。
そんな私の初連獅子が市川染五郎さんと松本幸四郎さん親子の連獅子でした。
染五郎さんと幸四郎さんの気振りの勢いと迫力に驚き、数日後、連獅子見たさにもう一度歌舞伎座へ足を運びました。
幸四郎さんの気振りはどっしりとしていて余裕すら感じさせましたが、染五郎さんの気振りは必死さが伝わって来て、まさに親子そのもの。
染五郎さんがあまりにぶんぶん頭を回すもんだから、私は勢いで飛んで行ってしまうんじゃないかとハラハラしながら見た記憶があります。
テレビでも時々連獅子を見る機会がありますが、劇場で見るのとは大違いです。
音楽でもお芝居でもそうですが、やっぱり本物っていいですよね。
歌舞伎って敷居が高いと思いがちですが、ぜんぜんそんな事ないですよ。お客さんの年齢層が高めで落ち着いた雰囲気はありますが、3階席辺りなら気後れすることなく楽しめると思います。綺麗な着物を着て来られる方などもいらっしゃるので非日常感もあって楽しいです。初めて大向こうを聞いた時は感激しました。今は大向こう禁止なので寂しいですけどね。煌びやかな衣装を見るのも楽しいですよ!
それでは、本日も良い1日にしていきましょう!
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